長かった「法令上の制限」も今回でようやく最終回となります。
もうひと踏ん張りです!
土地区画整理法
土地区画整理法とは、土地・建物の有効利用するために、土地の区画が整理された街並みを作るための法律です。土地区画整理事業において実現していきます。
土地区画整理事業とは
土地区画整理事業とは、都市計画区域内の土地において宅地化推進のために行われる土地の区画形質の変更、公共施設の整備に関する事業のことを言います。
土地区画整理事業を進めるにあたって、減歩・換地処分と呼ばれる方法で実現していきます。
減歩とは
減歩とは、公共施設の整備等の目的で、土地所有者から土地の一部を無償で提供してもらうことです。
各土地の所有者が無償提供をしても、区画整理事業を行うことによって、地価が上昇するのでなんら害されることがないというこです。
換地処分とは
換地処分とは、土地区画整理事業の工事終了後に、従前の宅地に換えて、新しい換地を宅地の所有者に割り当てることです。詳しくは後述します。
施行者
土地区画整理事業の施行者になれるは、次の4パターンです。
①個人施行者 ②土地区画整理組合 ③区画整理会社 ④公的施行
- 個人施行者
宅地の所有者、借地権者、これらの同意を受けた者で一人でも複数人でも施行者になれます。
施行については都道府県知事の許可が必要です。 - 土地区画整理組合
宅地の所有者、借地権者が7人以上で共同して設立する組合のことです。
組合設立には、定款と事業計画を定めて都道府県知事の許可が必要です。
組合設立の認可あたっては、施行地区内の2/3以上の同意が必要です。
施行地区内の土地の所有者や借地権者全員が組合員となります。(強制加入) - 区画整理会社
地権者と民間事業者が共同で設立する、土地区画整理事業の施行を主たる目的とした株式会社であり、都道府県知事の認可が必要です。 - 公的施行
地方公共団体、国土交通大臣、都市再生機構、地方住宅供給公社・・・
都市計画に定められた都市計画事業施行区域内のみ施行が出来る。
換地計画
換地計画とは、換地処分(土地の割り当て)を行うための計画のことです。施行者が国土交通大臣・都道府県以外なら「換地計画」について都道府県知事の許可が必要となります。
換地計画では、次の事を定めます。
- 換地
換地は、従前の宅地と位置・地積・環境などの条件が同様なものでなければなりません。 - 清算金
換地に関して不均衡が生じる場合は金銭によって清算することを定める。 - 保留地
保留地とは、換地として定めずに、施行者が保有した状態の土地のことです。
①区画整理事業の施行費用に充てるため、公的施行の場合は施行後の宅地の価格が上回る場合に限ります。
②定款で定める目的のため(民間の場合)
建築行為の制限
区画整理事業が開始されると、事業計画の公告があってから換地処分の公告があるまでの間、次に掲げる建築行為をする場合は国土交通大臣(大臣施行の場合)または都道府県知事の許可(大臣施行以外)を得る必要があります。
- 土地の区画形質の変更
- 建築物その他の工作物の新築・改築・増築
- 重量が5トン超の物件の設置・堆積
仮換地の指定
換地処分を行う前に、必要な場合は仮の換地として仮換地(仮の土地)を指定します。
工事を行う上で、従前からその土地に住んでいる所有者に別の場所に移動してもらい、工事を円滑に進めることを目的としています。仮換地の位置および地積ならびに仮換地の指定の効力発生の日を通知して行います。
施行者によって手続きが異なります。次の通りです。
施行者 | 手続き |
個人施行者 | 従前の宅地の所有者や仮換地となる予定の宅地の所有者の同意が必要です。 |
土地区画整理組合 | 総会等の同意が必要です。 |
区画整理会社 | ①所有権を有するすべてのものの2/3以上の同意が必要です。 ②借地権を有するすべてのものの2/3以上の同意が必要です。 |
公的施行 | 土地区画整理審査会の意見を聴く |
仮換地が指定された場合の効果
- 仮換地の指定効力発生日~換地処分の公告日まで
①従前の土地の所有者は、仮換地を使用・収益することが可能です。逆に言うと従前の土地は使用・収益することはできない、処分(売却等)はできる
②仮換地の所有者は、その仮換地を使用・収益することができない、処分(売却等)はできる。 - 仮換地の使用収益開始日を別に定めた場合
①使用収益の開始日になるまでは、従前の土地の所有者は、使用収益開始日までは仮換地の使用・収益することはできない(開始日から使用収益が可能)
※もちろん仮換地の指定効力発生日から従前の土地も使用・収益することはできない。
換地処分
換地処分とは、前述した通り、土地区画整理事業の工事終了後に、従前の宅地に換えて、新しい換地を宅地の所有者に割り当てることです。ポイントは以下の通りです。
- 換地処分の時期
原則、換地計画に係る区域の全部について、工事が完了した後に遅滞なく、施工者が行います。
別の定めがあれば、工事完了前でも換地処分は可能である。 - 通知
換地処分は、施行者が権利関係者に対して、換地計画において定められた事項を通知をすること行われます。また、国土交通大臣や都道府県知事は換地処分があった旨を公告しなければなりません。 - 公告
国土交通大臣や都道府県知事は換地処分があった旨を公告しなければなりません。
換地処分の効果
公告があった日の終了日と翌日において、主に次のような効力が生じます。
- 換地処分にかかる公告日の終了時
①仮換地指定の効力が消滅する
②換地を定めなかった従前の宅地に属していた権利が消滅する
③事業の施行によって行使をする利益がなくなった地役権が消滅する - 換地処分のかかる公告の翌日
①換地が従前の宅地とみなされる
②施工者が保留地を取得する
③地役権は、換地処分の公告があった日の翌日以後においても、なお、従前の宅地の上に存在します。
④清算金が確定します。
今回の「土地区画整理法」で「法令上の制限」は終了となります。
法令上の制限では①都市計画法から始まって、②建築基準法、③国土利用計画法、④農地法、⑤宅地造成等規制法、そして今回の⑥土地区画整理法と重要な法令が6つもあり内容も非常にややこしいですが、諦めずに頑張って欲しいと思います。
次回からは「税・その他」の不動産に関する税金に進みます。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
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