今回の税は「印紙税」です。結構なじみある税金であり、領収書に貼ってある「印紙」のことです。不動産に限った税金ではありません
印紙税
「印紙税」とは、契約書や領収証などの文書に対して、その文書作成者に課される税金(国税)のことです。領収書などに貼っている「印紙」に消印すれば納税したことになります。2人以上で課税文書を作成した場合は連帯して納付義務を負います。
それでは不動産に関してどのような場合に印紙を貼るのかを見ていきましょう。
印紙税の概要
1.課税主体 | 国(国税) |
2.納税義務者 | 課税文書の作成者 |
3.課税客体 | 課税文書に対して税金がかかる |
4.非課税 | 国・地方公共団体等が作成する文書 個人と国とが共同で文書を作成した場合は ・個人保管分は非課税(国の作成) ・国の保管分は課税(個人の作成) |
5.納付方法 | 印紙を文書に貼り付けて消印する方法によって納付となる |
課税文書
課税文書とは、契約書や受取書(領収書)などあります。具体例を見ていきましょう。
- 契約書
①不動産の譲渡に関する契約書(売買契約書・土地交換契約書など)
②地上権または土地の賃借権の設定・譲渡に関する契約書(土地賃貸契約書など)
③消費貸借に関する契約書(金銭消費貸借契約書など)
④不動産の請負に関する契約書(工事請負契約書など)
※後日に正式な契約書を作成することを目的として作成される仮契約書
※同一内容の契約書が2通以上作成された場合、全ての文書が印紙税の課税対象 - (非課税文書の契約書)
①土地以外の賃借権の設定・譲渡に関する契約書(建物の賃貸借契約書など)
②抵当権、永小作権、地役権、質権の設定・譲渡に関する契約書(抵当権の設定契約書など)
③委任に関する契約書(媒介契約書・委任状など)
④使用貸借に関する契約書
※契約金額が1万円未満の契約書
- 受取書
①金銭等の受取書(領収証)は課税対象
②(5万円未満の受取書は非課税・営業に関しない受取書は非課税)
課税標準
印紙税の課税標準は、文書に記載されている金額(記載金額)で決められます。契約金額の記載がない契約書は一律200円です。
具体的には以下のようなものがあります。
契約書 | 記載金額 |
売買契約書 | 売買代金 |
交換契約書 | ①交換する双方の金額が記載されている時:金額の大きい方が記載金額 ②交換した時の差金のみが記載されている時:その金額 |
贈与契約書 | 「記載金額のない契約書」として扱う(=一律200円の印紙税) |
土地の賃貸借契約書 | 契約に際し相手方に交付し、後日返還することが予定されていない金額(権利金・礼金・更新手数料など) ※敷金・地代は記載金額とならない |
金額変更契約書 | ①原契約の契約金額から総額の変更がない場合:「記載金額がない契約書」として(=200円の印紙税) ②増額契約:増加額部分のみが記載金額となる ③減額契約: 「記載金額がない契約書」として(=200円の印紙税) |
【注意事項】
①同じ契約書内に「売買契約」「請負契約」の記載がある場合は、原則として「売買契約」にかかる文書となる。
※例外として、両方の金額の記載があるときは、金額が大きいほうが記載金額となる。
②契約書に、消費税額等が区分記載されているときは、消費税額を除いた金額が記載金額となります。
税率
印紙税の税率は記載金額によって異なります。(詳しくは覚える必要がないです)
記載金額がない場合は200円です。
過怠税
いわゆる印紙を貼らない場合などの罰金のことです。
印紙を貼り付けていない場合 | 不貼付の印紙税額とその2倍相当額の合計(印紙税額の3倍) |
消印がない場合 | 既に貼付の印紙税額とは別にその1倍額の合計(印紙税額の2倍) |
※過怠税が課せられても、契約自体は有効に成立します。
つづく・・・
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