所得税とは?

宅建

所得税はよく耳にしますよね。多くの人が毎月払っている税金で、非常になじみ深い税金ですが、所得とは何でしょうか?収入との違いは?

では詳しく見ていきましょう。

所得税(譲渡所得)

所得税は、個人の1年間(1/1~12/31)所得に対して国が課す税金です(国税)。では、所得とは何でしょう?

所得とは、収入から必要な経費を差し引いた金額のことです。(所得=収入ー必要経費)

所得と言っても様々な所得があり、給与所得が一番有名ですが全部で10種類の所得に分けて税額が計算されています。

①利子所得 ②配当所得 ③不動産所得 ④事業所得 ⑤給与所得 ⑥退職所得 ⑦山林所得 

譲渡所得 ⑨一時所得 ⑩雑所得

宅建試験で取り上げる所得は「譲渡所得」になります。

譲渡所得とは

譲渡所得とは、土地や建物などを譲渡(売却)することで得られる所得のことです。

譲渡所得の税率

譲渡所得短期譲渡所得(所有が5年以内)と長期譲渡所得(所有が5年超)に分類されます。それによって税率が異なります。

  • 短期譲渡取得・・・所得税:30%・住民税:9%
  • 長期譲渡取得・・・所得税:15%・住民税:5%

そして、課税方法は分離課税(他の所得と譲渡所得とを分けて税額を計算する方法)です。

譲渡所得金額×税率(この税率が短期と長期で異なる)=譲渡所得の税額

譲渡所得の計算方法

譲渡(売却)することによって得た利益がいくらかを計算して課税します。

譲渡所得=譲渡収入ー(取得費+譲渡費用)

取得費とは、購入代金・取得時の仲介手数料・登録免許税・不動産取得税など、また取得費が不明な場合は収入金額の5%を概算取得費とすることができる。

譲渡費用とは、譲渡時の仲介手数料、印紙税、取壊し費用など

居住用財産の特例

所得税には、税金が安くなる特例がいくつかありますので、少しややこしいですが重要ポイントです。

①居住用財産の3000万円の特別控除
②収用等の5000万円の特別控除
③特定居住用財産の買換え特例
④居住用財産の軽減税率の特例
⑤優良住宅地の軽減税率の特例
⑥相続空き家にかかる3000万円の特別控除
⑦住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)

などがあります。順番にご説明します。

居住用財産の3000万円の特別控除

マイホーム(居住用財産)を売れば所得税が課されます。しかし、通常の土地・建物同様に所得税が課されるのでは、負担として重すぎるとういう観点から税金を軽減しようというものです。

居住用財産の譲渡については、譲渡所得金額から3000万円を差し引いて、その負担を軽減するものとしました。

譲渡所得=譲渡収入ー(取得費+譲渡費用) ー3000万円(控除される)

【要件】
居住用財産の譲渡であること

居住用とは、家屋に居住しなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること

配偶者や直系血族、生計を一にする親族等への譲渡ではないこと

④前年または前々年にこの3,000万円の特別控除を受けていないこと

⑤本年・前年・前々年に居住用財産の買換えの特例を受けていないこと

★注意点:長期譲渡・短期譲渡のどちらの場合でも適用されます。

収用等の5000万円の特別控除

土地や建物が、土地収用法、都市計画法等の規定に基づいて収用等される場合に、譲渡所得から5000万円を控除することができる。

譲渡所得=譲渡収入ー(取得費+譲渡費用) ー5000万円(控除される)

【要件】
土地収用法、都市計画法等の規定に基づいて収用等され、補償金等を受け取っていること

②公共事業の施行者から最初に買取りの申し出を受けた者による譲渡であること

★注意点:長期譲渡・短期譲渡のどちらの場合でも適用されます。

特定居住用財産の買換えの特例

簡単に言うと、マイホームを売って、新しいマイホームを購入したときに適用される特例です。譲渡による収入のうち買換資産の購入にあてられたと考えられる部分については課税されません。

居住用の不動産を売却した金額より買い換えたマイホームの購入金額の方が大きければ、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べできる制度です。課税のタイミングを将来に先送り(繰り延べ)するため、税金の支払いを免除される訳ではないです。

言い換えると譲渡益が出る場合にのみ、譲渡益の部分に課税され、繰り延べができるということです。

  1. 譲渡資産(売った資産)の要件
    居住用財産であること
    配偶者や直系血族、生計を一にする親族等への譲渡ではないこと
    居住期間10年以上であること
    所有期間10年超(家屋と敷地ともに、譲渡する年の1月1日時点)でであること
    譲渡金額が1億円以下であること
  2. 買替資産(買った資産)の要件
    居住用部分財産でその床面積が50㎡以上であること
    敷地の面積が500㎡以下であること
    売った年の前年1月1日譲渡した年の翌年の12月31日までに、買換え資産を取得すること
    ④耐火建築物であって築25年以内の家屋であること(または新耐震基準に適合しているもの)
  3. その他
    ①前年、前々年、本年に「3000万円の特別控除買換え特例など」受けていないこと
居住用財産の軽減税率の特例

居住用財産について所有期間が譲渡した年の1月1日時点で10年超である場合は税率を15%から軽減されます。

課税長期譲渡所得金額税率
6000万円以下の部分10%(軽減税率)
6000万円を超える部分15%(通常税率)

※取得金額は3000万円の特別控除または5000万円の特別控除の金額のことです。

優良住宅地の軽減税率の特例

優良住宅地のために所有期間が5年超の土地等を国・地方公共団体や収用の起業者等へ譲渡する場合、以下の軽減税率が適用されます。

課税長期譲渡所得金額 税率
2000万円以下の部分 10%(軽減税率)
2000万円を超える部分15%(通常税率)
居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例

所有期間が5年超(譲渡した年の1月1日時点で)の居住用財産を一定の住宅ローン等の要件を満たして譲渡し、譲渡損失が出た場合、損失が出た年の他の所得から、損益通算することが出来る。損益通算は最長3年間にわたって行えます(繰越控除)。

ただし繰越控除は所得金額3000万円以下に限ります。

相続空き家にかかる3000万円の特別控除

実家を相続したけれど、売却して利益が出たら譲渡所得税を払わなければなりませんが、一定の条件を満たしていれば譲渡所得から3,000万円を控除することができ、税金が安くなります。

増加し続ける「古い耐震性の低い空き家問題」に対処するために作られた制度です。

適用には厳しい要件があり、全てを満たしていなければなりません。

譲渡所得=譲渡収入ー(取得費+譲渡費用) ー3000万円(控除される)

【要件】
①被相続人が亡くなる直前まで居住していて、相続によって空き家になったこと
②譲渡するとき一定の耐震性が認められること
③1981(昭和56)年5月31日以前に建築された建物であること
④区分所有建築物(マンション)でないこと
⑤相続があった日から3年後の12月31日までの間に譲渡したこと
⑥譲渡金額が1億円以下であること  ・・・などなど

★ポイント:「相続財産にかかる譲渡所得の課税の特例(相続税の取得費の加算)」と選択適用となります。

※被相続人が老人ホーム等に入所していた場合でも一定の使用要件を満たせば控除適用となります。

住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)

住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)とは、住宅の取得や増改築などで住宅ローンを組み、その住宅ローンの年末残高に応じて、給与から差し引かれた所得税を返してもらえる制度です。

【要件】
返済期間(借入期間)が10年以上の住宅ローンであること
②住宅を取得してから6ヶ月以内に入居し、年末まで引き続き居住していること
その年の合計所得金額が3000万円以下であること
家屋の床面積が50㎡以上であること
⑤前年、前々年、本年に「居住用財産の3000万円特別控除」、「特定居住用財産の買換え特例」居住用財産の軽減税率の特例」を受けていないこと(併用不可)

特例の併用の可否

軽減税率の特例や特別控除などが数多くあり、ややこしいですが、併用できるものと併用できないものがあります。下記の2つは併用可で、他は基本的に併用不可です。

【特別控除】(居住用財産の3000万円の特別控除・収用等の5000万円の特別控除)

【軽減税率】(居住用財産の軽減税率の特例)

併用可

以上で不動産に関する税金は終わりですが、重要度が高いので是非マスターして欲しいと思います。次回は不動産鑑定に進みたいと思います。

つづく・・・

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