建築基準法とは?③

宅建

前回に引き続き「法令上の制限」の「建築基準法」をご紹介します。
似たような用語が多いですが、粘り強く勉強していきましょう。

建築基準法(その3)

建築基準法は、建物を建てるときに最低限守る必要があるルールを定めた法律です。
順番にご紹介しますね。

集団規定

斜線制限

斜線制限とは、建築物を建てる時は、建築物の高さを道路などの境界線から斜め上には建築を制限するもので、風通しや日照を確保するために3つの制限があります。

  • 道路斜線制限:道路および道路上空の空間を確保するための制限で、建物の高さの規制もあります。
出典:東建コーポレーション株式会社
  • 隣地斜線制限:高い建物の空間を確保するための制限で、高層建築物の高さを制限する規制です。
出典:東建コーポレーション株式会社
  • 北側斜線制限:住宅地における日当たりを確保するための制限で、建物の北側部分の高さを制限するものです。
出典:東建コーポレーション株式会社

3つの斜線制限が適用される区域が決まれています。

道路斜線制限隣地斜線制限北側斜線制限
第一種低層住居専用地域
第二種低層住居専用地域
田園住居地域
第一種中高層住居専用地域
第二種中高層住居専用地域
第一種住居地域
第二種住居地域
準住居地域
近隣商業地域
商業地域
準工業地域
工業地域
工業専用地域
用途地域の指定のない区域
日影規制

日影規制とは、建築物の高さ制限一つで、北側の敷地の日当たりを確保するための制限です。冬至日の午前8時から午後4時までの間で一定時間以上の日影となる時間を作ってはダメという規制です。

日影規制が適用されるのは次の通りです。

対象建築物
第一種低層住居専用地域 ①軒の高さがmを超える建築物 または
②地階を除く階数が以上の建築物
第二種低層住居専用地域 ①軒の高さがmを超える建築物 または
②地階を除く階数が以上の建築物
田園住居地域 ①軒の高さがmを超える建築物 または
②地階を除く階数が以上の建築物
第一種中高層住居専用地域 ③高さが10mを超える建築物
第二種中高層住居専用地域 ③高さが10mを超える建築物
第一種住居地域 ③高さが10mを超える建築物
第二種住居地域 ③高さが10mを超える建築物
準住居地域 ③高さが10mを超える建築物
近隣商業地域 ③高さが10mを超える建築物
商業地域 日影規制なし
準工業地域 ③高さが10mを超える建築物
工業地域 日影規制なし
工業専用地域 日影規制なし
用途地域の指定のない区域 ①②のうち、地方公共団体が条例で定めるもの

日影規制の対象外にある建築物でも、高さ10m超の場合は日影規制が適用されます。

低層住居専用地域内の制限

第一種低層住居専用地域第二種低層住居専用地域田園住居地域にのみ適用される規制です。

  • 高さ制限
    建築物の高さは10mまたは12mのうち、都市計画で定めた高さを超えてはダメとういうものです。(例外:特定行政庁が認めて許可したもの)
  • 外壁の後退距離(建築物の外壁から敷地の境界線までの距離)の制限
    外壁の後退距離は、都市計画で定めた限度以上でなければならいとし、その距離を定めるときの限度は、1.5mまたは1mとする。
防火・準防火地域内の制限

火災の延焼を抑えるために、建築物が密集している地域を防火地域準防火地域に指定して、建築物の構造に一定の制限を設けています。防火地域や準防火地域に指定されていない地域を、無指定地域と言います。

  • 建築物の制限
防火地域防火地域準防火地域準防火地域準防火地域
100㎡以下100㎡超500㎡以下500㎡超~1500㎡以下1500㎡超
4階建て以上耐火建築物耐火建築物耐火建築物耐火建築物耐火建築物
3階建て耐火建築物耐火建築物準耐火建築物準耐火建築物耐火建築物
2階建て準耐火建築物耐火建築物防火構造の建築物準耐火建築物耐火建築物
平屋建て準耐火建築物耐火建築物防火構造の建築物準耐火建築物耐火建築物
  • 看板の防火措置
    屋上の看板不燃材料にしなければならない。
    ②高さが3mを超える看板不燃材料にしなければならない。
  • 建築物が複数の地域にまたがる場合
    原則として、建築物の全部に対して最も厳しい規定が適用されます。
    『防火地域』>『準防火地域』>『無指定地域』
    建築物の中が防火壁で区画されている場合は、制限の緩やかな方の敷地側に防火壁を設けると、その防火壁から先は緩い方の制限が適用されます。

建築確認

建築確認とは、建築物の工事前に法律に適合しているかをチェックすることです。

  • 建築確認が必要な建築物
    全ての建築物をチェックする訳ではなく、主に大規模建築物が該当しますが、詳しくは下記の通りです。
建築物の種類適用される規模新築増改築
移転
大規模修繕、
模様替え
用途変更
特殊建築物(ホテル・病院・学校など)用途部分の床面積が200㎡超のもの○(10㎡超
②大規模建築物(木造3階以上
・延べ面積500㎡超
・高さが13m超
・軒の高さ9m超 のいずれかに該当
○(10㎡超
③大規模建築物(木造以外)2階以上
・延べ面積200㎡超 のいずれかに該当
○(10㎡超
④一定区域(都市計画区域・・)の
上記①②③以外の建築物
規模問わず○(10㎡超
特殊建築物:公共性があり不特定多数が集まる建築物
用途変更:類似用途の場合(旅館→ホテルなど)は建築確認不要

つづく・・・

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