不動産鑑定評価基準とは、不動産の適正な鑑定評価をする際の基準です(法的なものではないです)
不動産鑑定評価基準
不動産鑑定評価の価格の種類
不動産の価格には、正常価格、限定価格、特定価格、特殊価格に分かれます。
正常価格(原則)
正常価格とは、市場性を有する不動産について、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格のことです。
ごくごく普通に取引した場合の成立価格です。
限定価格(特殊な場合)
限定価格とは、市場性を有する不動産について、隣接不動産の併合を目的とする売買など市場が相対的に限定される場合における適正に表示する価格のことです。
特定価格(特殊な場合)
特定価格とは、市場性を有する不動産について、法令等による社会的要請を背景とする鑑定評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさないことにより正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することとなる場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格のことです。
特殊価格
文化財や宗教建築物等、その保存に重点をおいて鑑定評価を行う場合など、市場性を有しない不動産について、その利用現況等を前提とした不動産の経済価値を適正に表示する価格のことです。
不動産の鑑定評価方式
不動産の鑑定評価方式の基本的な手法は、原価法、取引事例比較法、収益還元法に大別され、原則として、これらを併用して複数の手法を適用するべきであるとされています。
原価法
原価法とは、価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格(積算価格)を求める方法です。
- 対象不動産が建物の場合、価格時点に再度新築するために要する建築費用(再調達原価)を求め、そこから減価修正の価格が適正にできるときに有効である。
- 対象不動産が土地については、再調達原価が適切に把握できる場合は、原価法を適用できる。
- 減価修正の方法には、「耐用年数に基づく方法」と「観察減価法」の二つの方法があり、原則としてこれらを併用するものとされている。
取引事例比較法
取引事例比較法とは、不動産を鑑定評価する場合、似たような不動産の取引事例とを比較して、事情補正・時点修正をして試算価格(比準価格)を求める方法です。
- 取引事例は、原則として近隣地域または同一需給圏内の類似地域に存する不動産にかかるもののうちから選択する。
- 例外として、必要やむを得ない場合には近隣地域の周辺の地域に存する不動産に係るものから選択する。
- 取引事例は、豊富に秩序正しく収集し選択すべきであり、投機的取引であると認められる事例等適正さを欠くものは選んではいけない。
- 要件として。時点修正をすることが可能なものであることが必要である。
- 要件として、「地域要因の比較」及び「個別的要因の比較」が可能なものであることが必要である。
収益還元法
収益還元法とは、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益と最終的な売却価格から現在の対象不動産の試算価格(収益価格)を求める手法です。
- 賃貸用不動産または賃貸以外の事業の用に供する不動産の価格を求める場合に特に有効です。
- 文化財の指定を受けた建造物等の一般的に市場を有しない不動産以外のものには基本的にすべて適用すべきものである。
- 収益価格を求める方法には、「直接還元法」と、「DCF法」の2種類がある
- 直接還元法とは、単年度の期間の純収益を一定率の割り戻して価格を求める方法です。
- DCF法(Discounted Cash Flow)とは、連続する複数の期間に発生する純収益と最終的な売却価格を、現在価値に割り戻して価格を求める方法です。
つづく・・・
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