営業保証金とは、宅建業者が供託所(法務局)へ供託しておく保証金のことで、一般の消費者が宅建業者との取引で損害を受けた場合に弁済してもらうためのお金です。
営業保証金の供託
宅建業者は事業を始めるまでに、営業保証金を供託所(法務局)に預ける必要があります。
供託者 | 宅建業者 | |
供託場所 | 主たる事務所の最寄りの供託所(法務局) | |
供託金の額 | 主たる事務所 :1,000万円 従たる事務所ごと: 500万円 | 事務所の新設時には、新たに供託金500万円が必要 |
供託方法 | 金銭または一定の有価証券 ①国債 :額面金額の100% ②地方債、政府保証債 :額面金額の 90% ③国土交通省令で定める有価証券:額面金額の 80% | |
供託の届出 | 営業保証金を供託した旨を免許権者に届出しなければ事業を開始できない | |
供託の届出ない場合 | ①免許の日から3ヶ月以内に宅建業者より営業保証金を供託した旨の届出がない場合、免許権者は届出をすべき旨の「催告をしなければなりません」(義務) ②催告から1ヶ月以内に再び宅建業者より営業保証金を供託した旨の届出がない場合、免許権者は「免許を取り消すことができます」(任意) | ※宅建業の免許を取得したら3か月以内に供託・届出をしないと事業開始ができない |
保管換え
主たる事務所を移転して最寄りの供託所が変更となる場合は、営業保証金を新たに最寄りの供託所に移転する必要があります(保管換え)。
移転の方法が供託方法によって異なります。
①金銭のみで供託 | 従前の供託所に対して、移転後の主たる事務所の最寄りの供託所への保管替えを請求 | ※供託所が移転してくれる |
②金銭+有価証券 or 有価証券のみ | 移転後の主たる事務所の最寄りの供託所へ新たに供託が必要 | ※新たに供託してから、従前の供託所から返してもらう ※一時的に2重供託していることになる |
営業保証金の還付
宅建取引により損害受けたら、宅建業者が供託している「営業保証金の還付」を受けます。
還付 | 営業保証金から債権の弁済を受けること |
供託所の説明 | 宅建業者は契約成立前に供託所の所在地を説明する必要がある | ※営業保証金を供託しているすべての供託所の所在地 |
還付を受けられる者 | 宅建業者と取引をし、その宅建業に関する「取引」について生じた債権を有する者(宅建業者を除く) | ※広告業者への広告料の支払いや内装業者のリフォーム費用などは対象外 |
還付を受けられる額 | 営業保証金の範囲内 | |
追加供託 | 営業保証金の還付後に不足額を供託すること | 追加供託の通知を受けた日より2週間以内に供託し、その2週間以内に届出が必要である |
営業保証金の取戻し
宅建業者が、営業保証金を供託しておく必要がなくなったときは、供託所に対して「営業保証金の取戻し」を請求することができます。
免許を更新せず失効した場合 | 6か月以上の期間を定めて公告が必要 |
免許の取消処分をされた場合 | 6か月以上の期間を定めて公告が必要 |
一部の事務所を廃止した場合 | 6か月以上の期間を定めて公告が必要 |
保管替えできずに二重供託となった場合 | 公告不要 |
保証協会の社員となった場合 | 公告不要 |
公告 | 他に債権を持っている人がいないか、広く公に知らせること | ※取戻し事由が発生した時から10年経過したときは公告不要 |
つづく・・・
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