都市計画法(その1)
人が住みよい街をつくる為の法律です。
その街づくりが「都市計画」で、計画的に都市を作っていくための法律です。
言い換えると、勝手に色々な建物を建てたりしないように規制をかけるための法律です。
色々な専門用語が出てきますので違いをしっかりと理解していきましょう!
日本は大きく3つの区域に分けられています。
①「都市計画区域」②「準都市計画区域」③「①と②以外の区域」です。それぞれみていくと。
都市計画区域
人が住んでいて、住みよい街づくりが必要な場所のことを都市計画区域といいます。
都市計画区域は計画的に行うためにさらに3つの区域に区分されています。
①「市街化区域」②「市街化調整区域」③「非線引き区域」です。
- 市街化区域
①すでに市街地になっている区域
②概ね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域 - 市街化調整区域
①市街化を抑制すべき区域
②自然環境を維持することが目的となってい区域 - 非線引き区域
①「市街化区域」と「市街化調整区域」の線引きをしない区域
②今後の方向性がまだ決まっていない区域
準都市計画区域
「都市計画区域」に入らない区域で、将来的な開発の可能性があるエリアを「準都市計画区域」として指定します。インターチェンジ周辺など、将来的に開発される可能性がある地域が多いです。
地域地区
「都市計画区域」と「準都市計画区域」では、土地の利用方法ごとに分類して定めた地区を「地域地区」を定めることができます。
「地域地区」は①「用途地区」と②「補助的地域地区」に分けられます。
用途地域
「用途地域」は、地域地区のひとつであり、土地の利用目的に応じて建築できる建物の種類等を規制するもので、13種類に分類されています。
- 住居系
①第一種低層住居専用地域:閑静な住宅街
②第二種低層住居専用地域:閑静な住宅街に飲食店・コンビニなどの小さい店舗がある地域
③第一種中高層住居専用地域:3階建て以上のマンション・スーパーがある地域
④第二種中高層住居専用地域:マンションや大きな事務所がある地域
⑤第一種住居地域:住居、ホテルや店舗などある地域
⑥第二種住居地域:住居、店舗、パチンコなどがある地域
⑦準住居地域:道路の沿道で自動車修理工場などがある地域
⑧田園住居地域:住居、農家の設備などがある地域 - 商業系
⑨近隣商業地域:各種店舗がある地域、商店街
⑩商業地域:繁華街やオフィスビル街 - 工業系
⑪準工業地域:町工場がある地域
⑫工業地域:工場などがある地域
⑬工業専用地域:港のコンビナートなど
補助的地域地区
「用途地域」だけでは、足りない分を補うために定められた地域地区です。
地域の特性を活かすために「用途地域の規制」に加えて「補助的な規制をかけることができる地域地区」です。
具体的には、次の通りです。
①特定用途地域、②高度地区、③高度利用地区、④高層住居誘導地区、⑤特例容積率適用地区、
⑥特定街区、⑦防火地域・準防火地域、⑧景観地区、⑨風致地区、⑩特定用途制限地域、・・などなど
都市施設
人が生活するために必要な施設(道路、下水道、公園、学校・・・などなど)の事で、都市生活においては必ず定めなければならない施設があります。
①道路・下水道・公園:「市街化区域」、「非線引き区域」では必ず定めなければならない。
②義務教育施設 :「住居系の用途地域」では必ず定めなければならない。
③都市計画区域外には、必要な場合は都市施設を定めることが出来る。
地区計画
「都市計画」より小規模な地区を対象としたものが「地区計画」で、「小さな街づくりの計画」です。
都市計画法(その2)
ここからは実際の手続きや工事に関することをご紹介します。
都市計画の決定
都市計画は原則として、その計画によって「都道府県」および「市町村」が定めます。
2つ以上の都府県の区域にわたる場合は「国土交通大臣」が定めます。
都市計画の種類
①都市計画区域の整備、開発および保全の方針(マスタープランのこと)
②区域区分(「市街化区域」と「市街化調整区域」の線引きのこと)
③地域区分(「用途地域」「補助的地域地区」)
④都市施設
⑤地区計画
開発許可
都市計画法では、無秩序な開発を規制するために、宅地開発に対しては知事(または市長)の許可が必要であると定めており、これを開発許可という(都市計画法第29条)。この開発許可の対象となる行為が「開発行為」である。
開発行為(開発許可が必要)
開発行為とは、建築物の建築または特定工作物の建設のために行う土地の区画形質の変更ことをいいます。
- 特定工作物とは?2種類あります。
①第一種特定工作物:コンクリートプラント、アスファルトプラント・・・など
周辺環境の悪化をもたらすおそれがある工作物
②第二種特定工作物:ゴルフコース、1ha以上のグラウンドや墓苑 - 土地の区画形質の変更とは?
建物を建てる目的のために、土地を整備すること(地面をならすこと)
開発不許可
逆に開発許可が不要な場合も多々あります。
- 小規模な開発行為
①都市計画区域
●市街化区域 :1000㎡未満の開発行為(3大都市圏は500㎡未満)
●市街化調整区域:開発許可は必ず必要
●非線引き区域 :3000㎡未満の開発行為
②準都市計画区域 :3000㎡未満の開発行為
③①、②以外の区域:10,000㎡未満の開発行為 - 農林漁業用の建築物
市街化区域以外の他の区域に行う、2つの開発行為
①農林漁業用の建築物(牛小屋、ビニールハウス・・・)を建築する為に行う開発行為
②農林漁業を営む者の居住用建築物を建築する為に行う開発行為 - その他
①公益上必要な建築物(駅舎、図書館・・・)を建築する為の開発行為
②都市計画事業などの事業の施工として行う開発行為
③非常災害時の応急措置の開発行為
④軽易な行為(仮説の建築物の建築など)として行う開発行為 - 開発許可がいるのかいらないのかの考え方
①開発行為に該当するのか?
②開発不許可に該当するのか?の順番で考えます。
都市計画法は他に開発許可の手続きなどを学習しますが、用語は必ず覚えてどこのことを指しているのかを明確に把握する必要があります。
試験では2問出題される重要な法令になります。
人によっては一番厄介な科目になると思いますが、得点に結びつけていきましょう!
つづく・・・
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